大和建造秘話

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大和建造秘話2

 10分の1大和の建造を手がけたのは、地元・呉の山本造船だった。

「実を言うと、あまりに途方もない計画でほとんどの会社が及び腰だったんです。引き受けたとはいえ、

私自身も何度も逃げ出したくなりましたよ。会長である父にも言い出せず、ようやく打ち明けたのは契約

が終わってから。以後半年、おまえは会社をつぶす気かと大騒ぎでした」(笑)

 山本造船3代目社長、山本一洋さんは、10分の1の大和建造の日々をこう振り返る。

「最初は100分の1の模型を10倍したものをつくればいいぐらいにしか思ってなかったんです。ところが、

100分の1では見えなかったものが、10分の1では見える。だからすべてつくり込まなきゃならないことに気づ

いて、とんでもないことになったと」

 全長262メートルの大和は、10分の1にスケールダウンしても約26メートルある。そうなるとこれはもう、模型

ではなく実物の船、細部のごまかしはきかない。

 それでも図面があればつくりようもあるが、なにしろ軍の最高機密に属していたようなふねである。ほとんど

は終戦時に処分され、残っているのはわずか数パーセントだ。

「設計図の一部や写真、沈没した船体の水中映像などを解析したり、たまたま知り合いのお父さんが海軍工廠

で大和をつくられていたということで、70歳を過ぎたその方の記憶も参考になりました。あとは乗組員や遺族の

方々が内緒で持っておられた写真。例えば図面では六角形になっている柱が、実際は丸かったことがわかった

りしたのは、そういう写真のおかげでした」

 そうやって作成した図面はざっと数百枚。10分の1だと省略できる部分はほとんどないので、手すりや滑車、

アンテナ用の絶縁硝子に至るまで図面に起こそうとしたそうだ。
 

 

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